帰化と永住権(永住者)のちがいを知りたい
長く日本で生活をしている外国籍の方の中には、帰化と永住の要件をみたしている場合にどちらを申請しようかと考えることもあると思います。
ここでは帰化と永住のちがいと、それぞれのメリット・デメリットについてわかりやすくご説明します。
そもそも帰化とは
帰化とは本人の希望により他国の国籍を取得し、その国の国民になることです。
つまり日本に帰化するということは外国人が日本の国籍を取得して日本人になるということです。
そもそも永住者とは
日本に住む外国人の在留資格の一つです。
国籍は母国のままで、在留期間がなく活動に制限が加えられません。
帰化と永住を比較してみる
帰化 | 永住権 | |
国籍 | 日本 | 母国 |
戸籍 | もつことができる | もてない |
パスポート | 日本発行 | 母国発行 |
名前 | 日本名を自由に決められる | 日本名はなし |
在留資格の手続 | 不要 | 在留カードの更新など必要 |
参政権 | ある | ない |
再入国手続き | 必要なし | 必要 |
就労制限 | なし | なし |
在留カード | 日本国籍なので
在留カードはありません |
携帯義務あり |
帰化のメリットとデメリット
帰化のメリット
①日本で新しく戸籍が作られる
外国人は日本の戸籍がありません。
そのため日本人と結婚した場合でも配偶者と同じ戸籍に入ることはなく配偶者の戸籍に結婚をした旨の記載がされるのみとなります。
帰化申請が許可されると新しく戸籍がつくられます。
未婚の場合は自身の戸籍ができ、既婚者の場合(相手が日本人)は配偶者の戸籍に入るか新しい戸籍をつくり家族でその戸籍に入ることもできます。
②日本名を付けることができる
使える文字などに一定の制限はありますが、自分で決めた名前を付けることができます。
そのため就職活動のタイミングで帰化申請を検討する場合も多いようです。
③日本国のパスポートを取得できる
日本国のパスポートは世界のパスポートランキングで1位です(2020年現在)。
日本のパスポートで渡航可能な国は、227カ国中191カ国で単独トップです。
③日本の社会保障が受けられる
年金・保険・教育・福祉などを受けることができます。
④参政権を取得できる
選挙権・被選挙権を得られます。
社会づくりに参加できる大切な権利です。
⑤そのほか
日本の金融機関からの融資が受けやすくなる。
不動産賃貸物件が借りやすくなる。
というメリットがあります。
帰化のデメリット
①母国の国籍を失う
日本国籍を取得するということは、母国の国籍を失うということです。
これにより、母国に行く場合に査証(ビザ)が必要になります。(査証免除国への渡航は不要)
そして母国では外国人ということになりますので、渡航は期間に制限もあります。
永住権(永住者)のメリットとデメリット
永住権のメリット
①在留期限がない
在留期限が無制限になります。
②活動制限がなくなる
就労の制限がなくなります。
③母国籍は保持できる
当然ですが永住者になった場合でも自身の国籍は変わりません。
永住権(永住者)のデメリット
①退去強制の対象になる
申請内容に虚偽があった場合や刑法に定める一定の罪名に違反し、懲役や禁錮に処せられた場合退去強制になることがあります。
②在留カードの更新手続きは必要
永住権の在留期限は無期限ですが、在留カードには有効期限があります。
17歳以上の場合は7年間なので忘れずに更新手続きをしなくてはなりません。
③在留カードの携帯義務がある
永住者も在留カードは常時携帯することが必要です。
入国審査官、入国警備官、警察官等から提示を求められた場合には提示しなければなりません。
もし在留カードを携帯していなかった場合は20万円以下の罰金、提示に応じなかった場合は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることがあります。
まとめ
今後もずっと日本で生活することを決めている場合は帰化をした方が有益であるといえると言えます。
ですが、いずれは母国でも生活も考えている場合や母国籍を放棄することに抵抗があるという場合などは永住権の取得を選ぶこともひとつの正しい選択だと思います。
”帰化の要件は満たしているけど永住の要件は満たしていない”ということもあります。
”自身が要件にあてはまっているのかわからない”など困った時は専門家にご相談ください。